みなさんこんにちは
はやかわ循環器科内科クリニック院長の早川裕です。
テレビではオミクロン変異株についての報道が連日あり、不安をあおられる毎日です。
その中で「オミクロンは重症化しにくい!」ってことをよく聞きませんか?
そこでふと考えてしまいました。重症~軽症の境目って分かりにくいですよね。
下記の表は「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き・第6.0版」から抜粋したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の重症度分類です。
重症度 | 酸素飽和度 | 臨床状態 | 診療のポイント |
症 軽 | SpO2≧96% | 呼吸器症状なし もしくは 咳のみで呼吸困難なし いずれの場合であっても肺炎所見を認めない | ・多くが自然警戒するが、急速に病状が進行することがある。 ・リスク因子のある患者は原則として入院勧告の対象となる。 |
中等症Ⅰ 呼吸不全なし | 93%<SpO2<96% | 呼吸困難、肺炎所見 | ・入院の上で慎重に観察。 ・低酸素血症があっても呼吸困難を訴えないこともある。 ・患者の不安へ対処することも重要。 |
中等症Ⅱ 呼吸不全あり | SpO2≦93% | 酸素投与が必要 | ・呼吸不全の原因を推定。 ・高度な医療を行える施設へ転院を検討。 |
症 重 | ICUに入室 もしくは 人工呼吸器が必要 | ・人工呼吸器管理に基づく重症肺炎の2分類(L型、H型)が提唱。 ・L型:肺はやわらかく、換気量が増加 ・H型:肺水腫で、ECMOの導入を検討 ・L型からH型への移行は判定が困難 |
一般の方がご覧になっても「いやいやよく分からない…」となりがちだと思いますのでポイントをまとめます。
- 軽症:肺炎なし
- 中等症:肺炎あり(SpO2低下なしはⅠ、SpO2低下ありはⅡ)
- 重症:ICU入室or人工呼吸器が必要
以上の通り、重症度は肺炎の有無と呼吸状態で評価されています。
噛み砕いてご説明すると、こんな感じになると思います。
- 軽症:入院の必要がない
- 中等症:酸素吸入をしないと危ない
- 重症:集中治療室(ICU)での治療もしくは人工呼吸器を装着する必要がある
やはりピン!とこないかもしれません、少なくとも実際に罹患されたみなさんの自覚症状とは一致しないかもといったことが考えられます。
軽症とはいえ、きつい思いをされた方も多いのではないでしょうか。
これについてはアメリカで活動されている安川康介先生のツイートを見て「目からうろこ」だった覚えがあります。画像つきで大変わかりやすかったのでそのまま紹介したいですが、こちらに同じ画像を貼り付けるわけにはいきませんので、興味のある人は検索してください。
こちらでは、先生のツイートを元に簡単に表にまとめておきます。
【新型コロナウイルス感染症の考え方】
軽症 | 中等症 | 重症 | |
患者の考え方 | 全然平気・カゼ程度 | 息苦しさが出そう | 入院が必要だろう |
医師の考え方 | 酸素はいらないものの咳は続く | 肺炎が広がって、多くの人にとって人生で一番苦しい | 助からないかもしれない |
思っているよりも症状は重いのではないでしょうか.これは大きなギャップだと思います.
ではなぜ重症度が呼吸状態で決められているのでしょうか?
これは新型コロナウイルス感染症の臨床的な経過です。
徐々に呼吸症状が進行し生命を脅かします。
コロナの患者さんは肺炎が進行し呼吸がままならなくなるためになくなる傾向だから重症度の基準となっているのですね。
オミクロン変異株は重症化しにくいとのお話もありますが、感染部位が上気道(鼻やのど)に限られる傾向があるからともいわれます。肺炎になりにくいだけで高熱も出ます。倦怠感で行動もままなりません。咳で息が苦しいこともままあります。
気になる症状がある場合には、お早めの医療機関の受診をおすすめいたします。