寝る前のスマホが心臓に負担?質の良い睡眠で血圧を整える就寝前の新習慣

みなさん、こんにちは。
はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。

「疲れているはずなのに、なかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」「朝、起きても疲れが取れていない」…。こうした睡眠に関する悩みは、多くの方が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

実は、この「睡眠の質」は、日中の集中力や気分だけでなく、高血圧や心臓病といった循環器の病気にも深く関わっています。睡眠は、日中にフル稼働した脳と身体、そして「心臓」を休ませるための大切なメンテナンス時間なのです。

今回は、ご自身の心臓を健やかに保つために、今日からできる「質の良い睡眠」をとるための就寝前の過ごし方についてお話しします。


なぜ「寝る前の過ごし方」が心臓の健康にまで影響するのか?

私たちの身体には、「自律神経」という体の機能を自動でコントロールする神経があります。これには、車でいうアクセルの役割を果たす「交感神経」と、ブレーキの役割を果たす「副交感神経」の2種類があります。

  • 交感神経(アクセル): 日中、活動している時や緊張・興奮している時に働き、心拍数を上げ、血管を収縮させて血圧を上げます。
  • 副交感神経(ブレーキ): 夜、リラックスしている時や眠っている時に働き、心拍数を穏やかにし、血管を広げて血圧を下げます。

健康な状態であれば、夜になると自然に「ブレーキ」が優位になり、心と身体は休息モードに入ります。しかし、寝る直前までスマートフォンの明るい画面を見たり、仕事のメールをチェックしたり、悩み事を考えたりしているとどうでしょう。脳は興奮し続け、「アクセル」が踏まれたままの状態になってしまうのです。

この状態では、心拍数も血圧も十分に下がらず、夜通し心臓や血管が緊張し続けることになります。これが毎晩続けば、血管は少しずつダメージを受け、動脈硬化が進み、将来的に高血圧や心臓病のリスクを高めてしまうのです。


質の良い睡眠に導く「3つのスイッチOFF」

心と身体の「アクセル」を緩め、スムーズに「ブレーキ」に切り替えるために、就寝前に3つのスイッチをOFFにすることを意識してみましょう。

①「脳」のスイッチをOFF:就寝1時間前からはデジタルデトックス

スマートフォンやパソコン、テレビの画面から発せられるブルーライトは、眠りを誘うホルモンである「メラトニン」の分泌を強力に抑制してしまいます。また、SNSやニュースなどの情報は、知らず知らずのうちに脳を興奮させ、眠りを妨げます。 就寝1時間前になったら、意識的に画面から離れ、穏やかな音楽を聴いたり、パラパラと雑誌をめくったり、簡単なストレッチをしたりと、リラックスできる時間に切り替えましょう。

②「胃腸」のスイッチをOFF:食事は就寝3時間前までに

寝る直前に食事をとると、眠っている間も胃腸は消化のために働き続けなければならず、身体の内部が休息できません。特に脂っこいものや量の多い食事は避けましょう。 また、コーヒーなどに含まれるカフェインは脳を覚醒させる作用が数時間続きます。アルコールは一時的に寝つきを良くするように感じますが、眠りが浅くなり、夜中に目が覚める原因になるため、質の良い睡眠のためには控えるのが賢明です。

③「身体の興奮」のスイッチをOFF:ぬるめのお風呂でリラックス

質の良い睡眠のためには、身体の内部の温度「深部体温」をうまくコントロールすることが鍵です。 就寝の90分ほど前に、38~40℃のぬるめのお湯に15分ほど浸かってみてください。入浴で一時的に上がった深部体温が、お風呂上がりにゆっくりと下がっていく過程で、身体は自然と休息モードに入り、心地よい眠気が訪れます。 熱すぎるお湯は逆に「アクセル」である交感神経を刺激してしまうので、リラックスのためには「ぬるめ」がポイントです。


まとめ:良い習慣が、良い眠りと、健やかな明日をつくります

質の良い睡眠は、日中のパフォーマンスを上げるだけでなく、長期的に見てご自身の心臓や血管を守るための、誰にでもできる大切な健康管理です。

今回ご紹介した3つのスイッチOFF、すべてを一度に始めるのは大変かもしれません。まずは「寝る前のスマホをやめてみる」など、一つでもご自身が取り組めそうなことから試してみてはいかがでしょうか。

もし、生活習慣を改善しても眠りの悩みが続く場合や、ご家族から「大きないびき」や「睡眠中に呼吸が止まっている」ことを指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの病気が隠れている可能性もあります。これは循環器疾患に直結する危険なサインですので、決して放置せず、お気軽に当院のような専門の医療機関にご相談ください。

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