SAS改善の第一歩!睡眠姿勢と枕選びのポイント

みなさんこんにちは。
鹿児島市のはやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の治療と聞くと、CPAP装置やマウスピースといった専門的な医療機器を思い浮かべる方が多いかもしれません。確かにこれらは非常に効果的な治療法ですが、実は日々の生活の中で、ご自身で症状を和らげるための大切な工夫がいくつかあります。その中でも特に重要なのが、「睡眠姿勢」と「枕選び」です。

いびきや無呼吸の主な原因は、寝ている間に空気の通り道である上気道が狭くなることですが、この気道の狭窄は、寝る姿勢や、頭を支える枕によって大きく左右されることがあります。

今回は、睡眠姿勢がなぜSASといびきに影響するのか、そして、より良い睡眠のための姿勢や枕の選び方について、私、早川が詳しく解説していきます。


1. なぜ睡眠姿勢がSASといびきに影響するのか?

睡眠時無呼吸症候群の約9割を占める「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」は、寝ている間に舌の付け根(舌根)や軟口蓋(のどちんこの周りの柔らかい部分)が重力によって喉の奥に落ち込み、気道を塞いでしまうことで起こります。この気道の狭窄が、いびき音を生み出し、さらにひどくなると呼吸が止まる「無呼吸」へとつながるのです。

特に仰向け寝(あおむけ寝)の場合、重力が舌や軟口蓋を喉の奥へ引き込む力が最も強く働くため、気道が狭くなりやすくなります。結果として、いびきをかきやすくなったり、無呼吸の回数が増えたりする傾向があります。この無呼吸が続くと、体内の酸素濃度が低下し、心臓や血管に大きな負担をかけ、高血圧や不整脈などの循環器疾患のリスクを高めてしまいます。


2. SAS・いびき改善に効果的な睡眠姿勢とは?

気道が狭くなるのを防ぐためには、重力の影響を最小限に抑える姿勢が重要です。

  • 「横向き寝」がおすすめです 横向きに寝ることで、舌根が喉の奥に落ち込むのを防ぎやすくなり、気道が確保されやすくなります。これにより、いびきが軽減されたり、無呼吸の回数が減少したりする効果が期待できます。
    • 具体的な方法:
      • 抱き枕の活用: 抱き枕を使うと、体が安定しやすく、自然に横向きの姿勢を保ちやすくなります。
      • テニスボール法: パジャマの背中部分にテニスボールを縫い付ける、あるいはポケットを付けてテニスボールを入れる方法です。仰向けになるとボールが当たって不快なため、自然と横向きを意識できるようになります。
  • 「仰向け寝」は避けたい理由 前述の通り、仰向け寝は舌根沈下を招きやすく、気道閉塞のリスクが高まります。もし、普段から仰向けで寝る習慣があり、いびきや無呼吸が気になる場合は、まずは横向き寝を試してみることをお勧めします。
  • うつ伏せ寝の注意点 うつ伏せ寝は、気道確保という点では比較的良い姿勢と言えますが、首や腰に負担がかかりやすく、別の体の不調を引き起こす可能性があります。無理にうつ伏せ寝を続けることは推奨しません。

3. SAS・いびき改善のための「枕選び」のポイント

睡眠姿勢と並んで重要なのが、頭と首を適切に支える「枕」です。枕は、寝ている間の気道の状態を大きく左右します。

  • 枕の役割: 枕の最も大切な役割は、首の自然なカーブを保ち、頭を支えることで、寝ている間の気道をまっすぐに保つことです。枕が合わないと、首が不自然に曲がり、気道が狭くなってしまいます。
  • 高さの重要性:
    • 高すぎる枕: 首が前に折れ曲がり、気道が圧迫されて狭くなります。
    • 低すぎる枕: 頭が下がりすぎてあごが上がってしまい、舌根沈下を招きやすくなります。
    • 適切な高さの見つけ方: 立っている時の自然な姿勢で、首のカーブがそのまま保たれる高さが理想的です。特に横向き寝をする場合は、肩の厚みがあるため、仰向け寝よりも少し高めの枕が必要になることが多いです。専門の寝具店などで実際に試しながら選ぶのがベストです。私に相談いただければ、適切な寝具店選びのアドバイスも可能です。
  • 素材と形状:
    • 適度な硬さ、フィット感: 頭や首の重みをしっかり支えつつ、体圧を分散し、フィットする素材(低反発ウレタン、そば殻、羽毛など)が良いでしょう。
    • 横向き寝に対応した形状: 横向きになった時に頭と首をしっかりと支えられるよう、両サイドが高くなっている、中央がくぼんでいるなどの工夫がされた枕もあります。
    • 通気性: 寝ている間の汗で蒸れないよう、通気性の良い素材を選ぶことも大切です。
  • マットレスとの相性: 枕だけでなく、マットレスの硬さや沈み込み方も、全体の寝姿勢に影響します。枕とマットレスは合わせて考えることが理想的です。

4. 睡眠姿勢・枕以外に自分でできるSAS対策

睡眠姿勢や枕の工夫は有効ですが、他にも自分でできるSAS対策があります。

  • 肥満の解消: 肥満は、首周りや喉の奥に脂肪がつき、気道を狭くする最大の原因です。体重を減らすことは、SAS改善に最も効果的な自己管理の一つです。
  • 飲酒・喫煙の制限: アルコールは喉の筋肉を弛緩させ、気道を狭くします。喫煙は喉の炎症を引き起こし、気道を腫れさせることがあります。これらを控えることも重要です。
  • 規則正しい生活: 不規則な生活や寝不足は、睡眠の質を低下させ、SASを悪化させる可能性があります。規則正しい睡眠リズムを心がけましょう。
  • 鼻の通りを良くする: 鼻炎やアレルギーで鼻が詰まっていると、口呼吸になりやすく、SASを悪化させます。鼻の症状がある場合は、耳鼻咽喉科での治療や、点鼻薬の使用などで鼻の通りを改善することも検討しましょう。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、CPAP治療などの専門的なアプローチが最も効果的ですが、日々の睡眠姿勢や枕の選び方を工夫することも、症状を和らげ、快適な睡眠を取り戻すための大切な第一歩となります。ご自身の身体と向き合い、最適な寝具を見つけることで、いびきや無呼吸の軽減につながり、日中の体調もきっと良くなるはずです。

もし、いびきや日中の眠気でお悩みでしたら、まずは正確な診断を受けることが重要です。はやかわ循環器内科クリニックでは、地域の皆様の健康な睡眠をサポートするため、睡眠時無呼吸症候群に関するご相談も積極的に受け付けております。鹿児島市で睡眠のことでお悩みの方は、ぜひ私にご相談ください。

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