睡眠時無呼吸症候群対策は枕の高さと横向き寝が鍵!心臓を守るための寝室環境づくり

みなさん、こんにちは。
はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。

以前、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善には運動習慣が大切、というお話をさせていただきました。今回はそれに続き、SASの治療を受けている方、そしてご家族の大きないびきに悩んでいる方に向けて、「寝室の環境」という、もう一つの重要な対策についてお話ししたいと思います。

SASの治療では、CPAP(シーパップ)という医療機器が中心となりますが、実は毎晩お休みになる寝室の環境を少し見直すだけで、症状が楽になったり、治療がより効果的になったりすることがあります。そしてそれは、夜間に心臓へかかる負担を軽くすることにも繋がる、非常に大切な取り組みなのです。


なぜ「寝室環境」が睡眠時無呼吸(SAS)に重要なのか?

まず、SASがなぜ起こるか簡単におさらいしましょう。これは、眠っている間に筋肉が緩むことで、舌や喉の奥の柔らかい部分が気道(空気の通り道)に落ち込み、気道を狭くしたり、塞いでしまったりする病気です。

寝室環境を整える最大の目的は、この「気道の閉塞を防ぎ、少しでも呼吸をしやすくする」ことにあります。

そして、ここが循環器専門医として最もお伝えしたいポイントです。呼吸が止まるたびに、私たちの体は酸欠状態になります。脳は「危険だ!」と判断し、体を無理やり覚醒させ、心臓は不足した酸素を補おうと懸命に働き、血圧は急上昇します。これが一晩に何十回、何百回と繰り返されるのです。これでは心臓が休まる暇もありません。

つまり、寝室環境の工夫で無呼吸の回数を一度でも減らすことができれば、その分、心臓をいたわることに直結するのです。


今夜からできる!SAS対策のための寝室づくり4つのポイント

大掛かりなリフォームは必要ありません。今夜からでも試せる4つのポイントをご紹介します。

① 寝具選び:枕とマットレスで「気道」を確保する

枕の高さは、SAS対策において最も重要な要素の一つです。枕が高すぎると首が前に折れ曲がり、低すぎると頭が落ち込んで、どちらも気道を圧迫してしまいます。理想は、横になった時に首の骨が背骨に対してまっすぐ一直線になる高さです。バスタオルを重ねて、ご自身に合った高さを探してみるのも良いでしょう。 また、マットレスは、柔らかすぎて腰が沈み込むものは避け、適度な硬さで体をしっかり支えてくれるものを選びましょう。

② 寝姿勢:「横向き寝」を習慣にする

SASの症状は、仰向けで寝ている時に最も悪化しやすくなります。重力によって舌がまっすぐ喉の奥に落ち込みやすいためです。対策はシンプルで、横向きで寝ることです。これだけで、いびきや無呼吸が大きく改善する方は少なくありません。 なかなか寝姿勢が定まらないという方は、抱き枕を活用したり、背中側にクッションを置いたりして、自然と横向きをキープできるように工夫してみてください。

③ 空気の質:適切な「湿度」と「温度」を保つ

空気が乾燥していると、鼻や喉の粘膜が乾いて炎症を起こし、鼻づまりや気道のむくみに繋がります。特に冬場や、夏にエアコンをつけたまま寝る際は要注意です。加湿器などを使い、寝室の湿度を50~60%に保つことを心がけましょう。 また、アレルギー性鼻炎もSASを悪化させます。ホコリや花粉、そして鹿児島では特に桜島の降灰なども刺激になりますので、寝室はこまめに掃除して清潔に保ちましょう。

④ 光と音:睡眠を妨げる刺激を徹底的に排除する

SASの方は、無呼吸によってただでさえ睡眠が浅く、断続的になりがちです。そのため、わずかな光や音の刺激でも目が覚めやすくなります。 遮光カーテンで部屋をできるだけ真っ暗にしたり、テレビやレコーダーなどの電子機器の待機ランプをテープで隠したりする工夫が有効です。騒音が気になる場合は、耳栓の活用も検討しましょう。


良い環境が、CPAP治療の心強い味方になります

今回ご紹介した「寝具」「寝姿勢」「空気の質」「光と音」の4つのポイントは、SASの根本治療であるCPAP療法の代わりになるものではありません。しかし、これらを実践することで、気道が確保されやすくなり、CPAPの効果を高め、より朝までぐっすりと眠れるようになる心強い味方となってくれます。

SASは、ご自身の努力と適切な治療によって、症状をコントロールし、健やかな毎日を送ることができる病気です。大きないびきや日中の眠気など、気になる症状があれば決して放置せず、お気軽に私たちのような専門医にご相談ください。

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