みなさん、こんにちは。
はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。
2025年もいよいよ師走。慌ただしい日々をお過ごしのことと存じます。 鹿児島も朝晩の冷え込みが厳しくなり、本格的な冬の到来を感じさせますね。
この「寒さ」こそが、私たちの体に大きな負担をかけます。特に、心臓や血管といった「循環器」にとっては、一年で最も過酷な季節です。
なぜ冬は心筋梗塞や脳卒中が増えるのか? それは、寒さで血管が収縮し、血圧が上がりやすくなるためです。 私も大学病院などで多くの患者さんを診てまいりましたが、冬場は重篤な症状で運ばれてくる方が増える傾向にありました。
地域のかかりつけ医として、皆様にはぜひ元気に年末年始を迎えていただきたい。 その思いから、今回は「12月に特に気をつけるべき病気と予防法」について、専門医の立場から分かりやすくお話しします。

最重要警戒!「ヒートショック」が命を脅かす
冬の時期、最も警戒していただきたいのが「ヒートショック」です。
これは、暖かい場所(リビングなど)から寒い場所(脱衣所、浴室、トイレなど)へ移動した際の「急激な温度差」によって、血圧がジェットコースターのように乱高下する現象を指します。
なぜ危険? 急激に血圧が変動すると、血管に多大な負担がかかります。 その結果、心筋梗塞や脳卒中といった、命に関わる重大な病気の引き金になってしまうのです。
特に鹿児島は、日中は比較的暖かい日もありますが、朝晩の冷え込みは厳しいという特徴があります。この「日中との寒暖差」と同じことが、家の中でも起こっているのです。
以下のシチュエーションは特に注意が必要です。
- 入浴時: 暖かいリビング → 寒い脱衣所 → 熱いお湯
- 夜中のトイレ: 暖かい布団の中 → 寒い廊下・トイレ
- 早朝の起床時: 布団から出て、暖房の効いていない部屋へ移動
大病院での経験上、入浴中に倒れられる方は本当に多いのです。 以下の予防策を、今日からぜひ実践してください。
【循環器専門医が教える予防策5箇条】
- 脱衣所と浴室は入浴前に暖める
- 小型のヒーターなどを活用し、リビングとの温度差をなくしましょう。
- お湯の温度は「41℃以下」に
- 熱すぎるお湯(42℃以上)は血圧を急上昇させます。「ぬるめのお湯」で「長湯は避ける」が鉄則です。
- 入浴前後にコップ一杯の水分補給
- 入浴中は汗で水分が失われ、血液がドロドロになりがちです。
- 「かけ湯」で体をゆっくり慣らす
- 心臓から遠い足元から、ゆっくりお湯をかけて体を慣らしましょう。
- 飲酒後の入浴は厳禁
- アルコールは血圧を変動させやすく、非常に危険です。
忘年会シーズン到来!「年末年始の高血圧」にご用心
12月は忘年会、クリスマス、そしてお正月へと、ご馳走を囲む機会が続きますね。 楽しい時期ですが、実は「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」が血圧を直撃します。
外食やおせち料理などは、私たちが思う以上に「塩分」が多く含まれています。塩分を摂りすぎると、体は水分を溜め込み、血液量が増えて血圧が上がります。
また、アルコールは適量なら良いのですが、飲み過ぎは確実に血圧を上げ、心臓に負担をかけます。
高血圧は「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」と呼ばれ、自覚症状がないまま静かに血管を傷つけ、動脈硬化を進行させます。 忙しい年末こそ、ご自身の血圧を意識することが大切です。
【上手な宴会の乗り切り方】
- 食べる順番を意識する: まずは野菜(食物繊維)から食べ始めましょう。
- お酒の合間に「水」を飲む: アルコールの分解を助け、飲み過ぎを防ぎます。
- シメのラーメンは我慢する勇気を: 塩分と脂質の塊です。
- 家庭での血圧測定を習慣化する: 毎日決まった時間に測り、ご自身の平均値を知っておきましょう。
もう一つの脅威!「冬の感染症」が持病を悪化させる
冬は空気が乾燥し、インフルエンザや感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)が猛威をふるう季節です。
「ただの風邪」と侮ってはいけません。 特に、心臓病や高血圧などの持病(基礎疾患)がある方にとって、感染症は非常に危険です。
なぜなら、発熱や脱水、咳(せき)といった症状は、すべて心臓に大きな負担をかけるからです。 感染症が引き金となって、心不全が悪化したり、不整脈が出たりするケースは少なくありません。
【今からできる対策】
- 予防接種の検討: インフルエンザワクチンは、発症予防および重症化予防に有効です。
- 基本の徹底: 外出後の「手洗い」「うがい」を徹底しましょう。
- 適度な湿度保持: 室内が乾燥しすぎないよう、加湿器などで調整しましょう(湿度50~60%が目安)。
- 人混みを避ける工夫: 師走の買い物などは、混雑する時間帯を避けるのも有効です。
12月を元気に乗り切る!院長から「3つのアドバイス」
最後に、循環器専門医として、冬の健康管理で見落としがちなポイントを3つお伝えします。
1. 「かくれ脱水」に注意しましょう 冬は夏と違って喉の渇きを感じにくいため、水分補給が疎かになりがちです。しかし、暖房の効いた室内では、皮膚から水分が蒸発しています。水分不足は血液をドロドロにし、血栓(血の塊)ができやすくなります。こまめに白湯(さゆ)や常温の水を飲む習慣をつけましょう。
2. 「適度な運動」を継続しましょう 寒いとつい家に閉じこもりがちですが、運動不足は血行を悪くします。無理のない範囲で、日中の比較的暖かい時間帯にウォーキングなどを行うことが、血圧の安定にも繋がります。ただし、早朝の寒い中での急な運動は危険ですので避けましょう。
3. 「質の良い睡眠」を確保しましょう 師走の忙しさで睡眠不足になっていませんか? 睡眠中は、心身を修復し、血圧を安定させる大切な時間です。忙しい時こそ、しっかり睡眠時間を確保するよう心がけてください。
12月は、ヒートショック、高血圧、感染症と、体に負担がかかる要因が重なる時期です。 しかし、今回お話ししたような「正しい知識」を持ち、少し意識を変えるだけで、多くの危険は予防できます。
「最近、血圧が気になる」 「冬になると胸が苦しくなる時がある」 「大病院に行くほどではないと思うが、一度専門医に相談したい」
そんな不安やお悩みがあれば、けっして我慢しないでください。 大病院で培った経験と知識を活かし、皆様の「町のドクター」として、親切・丁寧にサポートいたします。
何かあれば、いつでもお気軽に、はやかわ循環器内科クリニックにご相談ください。 皆様が健やかに新しい年を迎えられますよう、心より願っております。












