家族の協力が重要:睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療を続けるために

こんにちは、鹿児島市のはやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療、特にCPAP(シーパップ)療法は、毎晩装置をつけて眠るというご本人の努力がなければ始まりません。しかし、その治療を長く、そして前向きに続けていくためには、ご家族、とりわけ一緒に眠るパートナーの理解と協力が何よりも不可欠です。

今回は、SASという病気と向き合う上で、なぜご家族のサポートが重要なのか、そしてご家族には何ができるのか、というテーマでお話ししたいと思います。

ご家族は”最初の発見者”であり、”最大の応援団”

外来で患者さんにお話を伺うと、「妻に『いびきの後、呼吸が止まっていて怖い』と言われて来ました」「主人の大きないびきで眠れなくて…」と、ご家族からの指摘がきっかけで受診される方が非常に多くいらっしゃいます。

そう、ご家族はSASの”最初の発見者”なのです。そして、無事に診断がつき治療が始まった後には、ご本人が治療を続けていくための”最大の応援団”になっていただきたいと、私は心から願っています。

ご家族にお願いしたい3つのこと

では、具体的にどのようなサポートができるのでしょうか。ご家族の皆様に、ぜひお願いしたいことが3つあります。

① まずは病気の「本当の怖さ」を知ってください

SASは、単に「うるさいいびきをかく病気」ではありません。睡眠中に体が酸欠状態になることで心臓や血管に大きな負担をかけ、高血圧、心臓病、脳卒中といった命に関わる生活習慣病のリスクを格段に高めます。また、日中の激しい眠気は、交通事故や労働災害の原因ともなり得ます。

CPAP治療は、この恐ろしいリスクからご本人を守るための、いわば”命綱”です。「ちょっとくらい、いいか」と治療を中断することが、いかに危険なことかをご家族も一緒に理解していただくことが、サポートの第一歩です。

② 治療開始後の”慣らし期間”を温かく見守ってください

CPAPは、慣れるまでにある程度の時間が必要です。最初の数週間は、マスクの違和感や空気の圧迫感で、ご本人も「本当に続けられるだろうか」と不安でいっぱいです。

この時期に、そばにいるご家族から「そんなもの着けて眠れるの?」といった否定的な言葉をかけられると、ご本人の心は折れやすくなってしまいます。どうか、「大変そうだね」「少しずつ慣れていこうね」と、温かい言葉で見守ってあげてください。

③ ポジティブな変化に気づき、伝えてあげてください

治療を続けるモチベーションを最も高めてくれるのは、治療による”良い変化”です。そして、その変化に最も気づきやすいのも、そばにいるご家族です。

「あなたのいびきが聞こえなくなって、私も安心してぐっすり眠れるようになったわ。ありがとう」

これは、ご本人にとって最高の褒め言葉です。自分の治療が、大切なパートナーの安眠にも繋がっていると実感できるからです。

他にも、「最近、朝の目覚めが良さそうね」「日中にウトウトすることがなくなったんじゃない?」など、気づいた変化を具体的に伝えてあげてください。ご本人が気づいていない効果を客観的に教えてもらうことで、治療への意欲は格段に高まります。

CPAPの”音”に対する考え方

「CPAPの機械の音が気になって眠れないのでは?」と心配されるご家族もいらっしゃいます。確かに、CPAPは「シュー」という穏やかな作動音がします。

しかし、その音は「パートナーが安全に呼吸をしてくれている音」です。これまで聞いていた、呼吸が止まり、あえぐような苦しそうないびきに比べたら、どれほど安心できる音でしょうか。ぜひ、そのように捉え方を変えてみてください。

患者さんご本人へ:感謝の気持ちを忘れずに

そして、治療をされている患者さんご本人にもお伝えしたいことがあります。ご家族もまた、あなたの健康を願い、CPAPのある生活という新しい環境に適応しようと努力してくれています。

治療への協力に対して「いつもありがとう」と感謝の気持ちを伝えたり、「機械の音はうるさくない?」と気遣ったり、オープンに話し合う姿勢が、良好な協力関係を築く上でとても大切です。

家族というチームで取り組むSAS治療

SASの治療は、時に孤独な戦いのように感じられるかもしれません。しかし、決して一人ではありません。ご家族という心強いチームで支え合うことで、治療はもっと楽に、そして効果的なものになります。

当院では、患者さんご本人だけでなく、ご家族からのご相談もいつでも歓迎しています。ぜひ一度、パートナーとご一緒に話を聞きに来ていただけたら嬉しいです。

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