みなさん、こんにちは。
はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。
ご家族から「いびきが大きい」と指摘されたり、日中に耐えがたいほどの眠気に襲われたり、朝起きた時に頭がスッキリしない…。そんな経験はございませんか? もし心当たりがあれば、それは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のサインかもしれません。
SASは、単に睡眠の質を悪くするだけでなく、放置すると高血圧や不整脈、さらには心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めることが分かっています。実は、SASは循環器の健康と非常に密接に関わる病気なのです。
治療の基本として、CPAP(シーパップ)という機械を使って睡眠中の無呼吸を防ぐ方法がありますが、より根本的な改善を目指す上で、私たちが強く推奨しているのが「運動習慣」です。今回は、なぜ運動がSASに効果的なのか、そしてどんな運動をすればよいのかを解説します。
なぜ運動が睡眠時無呼吸症候群(SAS)に効くのか?
運動がSASの改善につながる理由は、主に3つあります。
最大の原因「肥満」を解消するから
SASの最も大きな原因の一つが、肥満、特に首まわりや喉、舌の付け根についた脂肪です。体重が増えると、この部分の脂肪も増え、空気の通り道である「気道」が狭くなります。運動によって体重を5~10%減らすだけでも、この気道が広がり、いびきや無呼吸が劇的に改善することが多くの研究で示されています。
全身の血流を改善し、睡眠の質を高めるから
適度な運動は、全身の血行を促進し、自律神経のバランスを整える効果があります。これにより、心身がリラックスし、より深い、質の高い睡眠を得やすくなります。結果として、SASによる睡眠の中断が起こりにくくなるのです。
舌や喉の筋肉の機能をサポートするから
私たちは、睡眠中に筋肉が緩むことで舌が喉の奥に落ち込み(舌根沈下)、気道を塞いでしまうことがあります。全身の運動習慣は、直接的な喉のトレーニングではありませんが、身体全体の筋力の低下を防ぎ、こうした気道の閉塞を予防する一助となります。
SAS改善におすすめ!今日から始める2つの運動
難しい運動や、ジムに通う必要はありません。大切なのは、無理なく続けられることです。
① 有酸素運動(脂肪を燃やす)
脂肪燃焼に最も効果的なのが有酸素運動です。
- 具体例: ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳、水中ウォーキングなど
- ポイント: 目安は「少し息が弾むけれど、笑顔で会話はできる」くらいの強さです。汗がじわっとにじむ程度を意識しましょう。
- 目標: まずは1回20~30分、週に3回を目標に始めてみてください。お忙しい方は、10分の運動を1日に3回に分けても同様の効果が期待できます。鹿児島の錦江湾沿いを気持ちよく歩くなど、楽しみながらできると長続きしますよ。
② 筋力トレーニング(痩せやすい体を作る)
基礎代謝を上げることで、普段の生活でもカロリーを消費しやすい「痩せやすい体」を作ります。
- 具体例: スクワット、かかと上げ・かかと落としなど、下半身の大きな筋肉を鍛える運動が効率的です。テレビを見ながらでもできます。
- ポイント: 有酸素運動の前に行うと、脂肪燃焼効果が高まると言われています。
運動を始める前に。循環器専門医からの3つのアドバイス
安全に、そして効果的に運動を続けるために、以下の3つの点にご注意ください。
- 急に頑張りすぎないこと 何よりも大切なのは「継続」です。いきなり高い目標を立てず、「今日は一駅手前で降りて歩く」など、ご自身のペースで始めましょう。
- 運動前のメディカルチェック 肥満度が高い方、すでに高血圧や心臓の病気をお持ちの方は、運動を始める前に必ず医師に相談してください。安全に行える運動の強さや種類を一緒に考えましょう。
- CPAP治療は自己判断でやめないこと 運動の効果が実感できるまでには、数ヶ月単位の時間が必要です。すでにCPAP治療を受けている方は、運動と並行して、医師の指示通りに治療を続けてください。
健康な睡眠は、健康な心臓と血管につながります
SASの改善に取り組むことは、単にいびきや眠気を解消するだけでなく、将来の生活習慣病を予防し、ご自身の心臓や血管の健康を守るための、非常に重要な「未来への投資」です。
「運動」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、まずは「いつもより10分多く歩いてみる」という小さな一歩からで構いません。その一歩が、必ずあなたの健康な未来へと繋がっていきます。
ご自身の症状や治療、運動の進め方について、少しでも不安や疑問があれば、どうぞお気軽に専門の医療機関にご相談ください。当院でも循環器の専門家として、皆様一人ひとりの健康づくりを全力でサポートいたします。












