新型コロナウイルスの予防接種について

鹿児島市でも新型コロナウイルスの予防接種が始まります。
当院も6月1日から接種を順次行っていく予定です。

テレビや新聞の情報も右往左往しており、接種されるみなさまも心配されておられると思います。
未知のウイルスに対する初めての経験なので、われわれも手探りとならざるを得ない状況です。

まずワクチン自体が十分に流通していないために、接種にあたる制限を強いられています。3週間ごとに2回に分けて接種が必要となりますので、日程の調整にはご注意ください。

副反応に対する不安は大きいと思いますが、基本的にはこれまでの予防接種と大きな変化はないように思われます。アナフィラキシーなどの強い副反応があった際には高度医療機関での治療を必要とすることもありますが、こちらはインフルエンザや麻疹ワクチンなど、ほかの医療行為でも起こりうる副反応です。一般的には15分前後から症状が出現すると言われていますので、接種後しばらくは会場で経過を診てください。

今回のワクチンは筋肉注射になりますので、腫れや痛みなどの局所的な副反応はインフルエンザワクチンなどの皮下注射より強くなる可能性はあります。発熱や痛みなどは2、3日で改善することがほとんどですが、持続する場合には医師にご相談してください。

現在分かっている範囲でワクチン接種が可能かどうか、注意事項を記載しておきます。

不安な点や分からないことがありましたら、当院までご連絡下さい。

 

新型コロナワクチンの予防接種における注意事項


①ワクチンを接種できない方

以下の方は、ワクチンを接種することができません。

・来院時に37.5℃以上の発熱がある方
・重い急性疾患にかかっている方
・ワクチンの成分に対し、強いアレルギー反応を起こしたことのある方
(じんま疹、喘息発作、呼吸困難、頻脈、血圧低下など)

上記以外でも、来院時に気分不良のある方は医師と相談の上、接種可能か判断します。

②ワクチンを接種するのに注意が必要な方

以下の方は、ワクチンを接種するに当たって注意が必要です。

・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある方
・過去に予防接種を受けて、接種後2日以内に発熱や全身性の発疹などがでた方
・過去にけいれんを起こしたことがある方
・ワクチンの成分に対して、アレルギーが起こるおそれがある方
・抗凝固療法を受けている人、出血が止まりにくくなる病気を持っている方

③持病のある方の場合

慢性的な病気のある方であってもワクチンを接種できることが多いです。

基礎疾患のある方は、むしろコロナウイルス感染によって重症化するリスクが高くなるために、優先接種の対象となっている方も多くいらっしゃいます。
一方でワクチン接種は体調のよいときに受けるのが基本ですので,病状が悪化している時期や、全身が衰弱している場合は避けた方がよいと考えられますので、かかりつけ医にご相談ください。

④アレルギー体質の方の場合

アレルギー体質などがあるだけで、接種を受けられないわけではありません。

「食物アレルギー」「気管支喘息」「アトピー性皮膚炎」「アレルギー性鼻炎」「花粉症」「じんま疹」など、アレルギー体質などがあるといった理由だけで、接種を受けられないわけではありません。接種するワクチンの成分に関係のないものに対するアレルギーを持つ方も接種は可能です。
ただし、これまでに、薬や食品など何らかの物質で、アナフィラキシーなどを含む、重いアレルギー反応を起こしたことがある方は、予診票に記載して接種会場で相談してください。

⑤薬剤の成分によるアレルギーについて

「ポリエチレングリコール」という新型コロナワクチンの成分によるアレルギー反応が問題視されています。

「ポリエチレングリコール」自体は一般に危険な物質ではありません。大腸カメラの際に使用する下剤や抗菌薬などに使用されているだけでなく,市販されている化粧品などにも多く使われています.多く使われると言うことは、それだけ安全性の高い成分だと言うことです。
しかし食物アレルギーや花粉症など、アレルギーの症状は起こる人もいれば、起こらない方もおられます。多くの人で安全であっても、100%すべての人で安全というわけではありません。薬物アレルギーや化粧品にアレルギー反応があった方は、接種前にご相談ください。

⑥妊娠中,授乳中の方や,妊娠を予定されている方の場合

妊娠中,授乳中,妊娠を計画中の方も,新型コロナワクチンを接種することができます.

海外のデータになりますが、今のところ妊婦又は妊娠している可能性のある女性にワクチンを接種された際、流産等妊娠に関わる大きな問題は認められていません。
しかし安全性に関するデータが限られていることから、接種のメリットとデメリットをよく検討して接種を判断していただくこととなります。

 

期間中の診療時間について

6月1日以降の火曜日の午後診療(14:30から17:00)は、当面のあいだ「コロナワクチン予防接種のための専用外来」の時間といたしますので、期間中の一般外来の診療中止を予定しております。なお、通常通りの診療時間に戻った際にはまたホームページ等でお知らせいたしますので、ご来院の際にはご注意下さいますようお願いいたします。

その他、鹿児島市の新型コロナワクチン接種に関する専用サイトや厚生労働省のサイトでも、ワクチンの接種方法や制度全般について詳しく説明されていますので、ご不明な場合にはご確認下さい。

はやかわ循環器内科クリニック 院長 早川 裕