みなさんこんにちは。
はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。
今年の夏は、鹿児島県内でも記録的な大雨が続き、避難指示や勧告が発令されることが多くありました。
改めて「避難のために何を準備すればいいだろうか」と、防災リュックの中身を点検された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
水、食料、懐中電灯…。しかし、その中に「お薬」や「お薬手帳」は入っていますでしょうか?
災害という非日常の中では、いつも当たり前に手に入っているものが、突然手に入らなくなることがあります。特に、血圧のお薬や心臓のお薬など、毎日飲むことが欠かせない方にとって、薬がなくなることは命に関わる問題です。
今回は、まだまだ台風のリスクもあり「防災の日」もある9月、災害時にあなたとあなたの大切な家族を守る「お薬手帳」の重要性についてお話ししたいと思います。
なぜ災害時に「お薬手帳」が”いのちのパスポート”になるのか?
「自分の薬くらい、自分で分かっているよ」と思われるかもしれません。しかし、薬の正式な名前やミリグラム単位の量を正確に記憶している方は、実は多くありません。お薬手帳は、そんな「万が一」の時に、あなたの命を守るパスポートの役割を果たしてくれます。避難時などに役立つ理由をご紹介します。
正確な薬の情報を伝えられる
お薬手帳には、あなたが「いつ」「どの病院で」「どんな薬を」「どれくらいの量」処方されたかが正確に記録されています。この情報があるだけで、避難先の医師や薬剤師は、あなたの状態を迅速かつ正確に把握することができます。
かかりつけ医以外でも治療がスムーズに
災害時には、いつも通っている病院や薬局に行けるとは限りません。そんな時でも、お薬手帳があれば、救護所や避難先の医療機関で、普段と同じ薬を処方してもらいやすくなります。治療が中断されるリスクを大きく減らすことができるのです。
アレルギーや副作用歴も大切な情報
お薬手帳には、過去にアレルギーが出た薬や、副作用で合わなかった薬の情報も記録できます。これは、安全な医療を受ける上で非常に重要な情報です。口頭で伝え忘れても、記録があれば二重にチェックすることができます。
今すぐできる!お薬手帳の災害への備え方
では、具体的にどう備えれば良いのでしょうか。難しいことは何もありません。今日からすぐに始められる方法をご紹介します。
基本の備え:紙のお薬手帳
まずは、お手元にある紙のお薬手帳を、防災リュックや非常時の持ち出し袋に入れておきましょう。もし、手帳そのものを入れるのが心配であれば、最新の処方内容が書かれたページをコピーして入れておくだけでも十分です。普段からお財布やカバンに入れて持ち歩く習慣をつけておくのも良いでしょう。
デジタルの活用:スマートフォンも味方に
今は多くの方がスマートフォンをお持ちです。お薬手帳の「表紙(あなたの名前が分かるページ)」と「最新の処方内容が書かれたページ」を、スマートフォンのカメラで撮影しておきましょう。これだけでも、立派なデジタルデータになります。 また、薬局によっては「電子お薬手帳アプリ」の利用を勧めている場合もあります。自動で記録が残り、家族の情報もまとめて管理できるなど便利な点も多いですが、スマートフォンの充電が切れると見られないという弱点もあります。また、撮った写真がどこに行ったかわからないこともあります。例えば、家族LINEのアルバムなどに撮った写真を収めておくと、写真を探す手間も省けてご家族の助けも得やすくなると思います(お薬手帳に記載の情報は重要な個人情報です、取り扱いに注意しましょう)。電子データは定期的に最新のものにしておくことも重要です。ご家族で声を掛け合って最新の情報にしておきましょう。
推奨:紙とデジタルの「二重の備え」
最も安心なのは、紙のお薬手帳(またはコピー)を防災リュックに入れ、さらにスマートフォンでも写真を撮っておく「二重の備え」です。どちらか一方が使えなくなっても、もう一方で対応できます。
お薬とセットで備えていただきたいこと
お薬手帳の準備と合わせて、お薬そのものの備えもお願いします。
- 薬の備蓄: いつももらっているお薬を、できれば1週間分ほど、防災リュックなどに入れておきましょう。
- 薬の中断リスク: 特に高血圧や心不全、不整脈など循環器疾患のお薬は、自己判断で中断すると病状が急激に悪化する恐れがあります。絶対にやめないでください。
- 家族との情報共有: ご自身に万が一のことがあってもご家族が分かるように、「防災リュックはここに置いている」「薬はここにある」という情報を、日頃から共有しておくことも大切です。
あなたの備えは、あなたと大切な人の未来を守ります
災害は、いつ、どこで起こるか分かりません。だからこそ、日頃の「備え」が何よりも大切になります。 お薬手帳の中身を確認し、防災リュックに入れる。たったこれだけの手間が、いざという時にあなた自身や、あなたの大切な人の命と健康を守ることに繋がります。
ご自身の薬の備えについて不安な点や、災害時の対応について疑問に思うことがあれば、どうぞ一人で抱え込まず、いつでも遠慮なく、私たちのようなかかりつけの医師や、お近くの薬局の薬剤師にご相談ください。一緒に、安心できる備えを考えていきましょう。












