そのスマートウォッチ、健康管理に活かせていますか?循環器医が教えるウェアラブル端末との上手な付き合い方

皆さん、こんにちは。
はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。

鹿児島市内の並木道も新緑がまぶしく、ウォーキングやジョギングを楽しんでいる方を多く見かけるようになりました。気持ちの良い汗を流すのは、心臓の健康にとっても非常に素晴らしいことです。

最近、診察室で患者さまから「先生、時計がこんな数字を出しているのですが……」と、スマートウォッチの画面を見せていただく機会がぐんと増えました。「便利な時代になったなぁ」と感心すると同時に、地域の皆さまの健康意識が高まっていることを心強く感じております。

今回は、今や身近な存在となった「ウェアラブル端末(スマートウォッチ)」との上手な付き合い方について、循環器医の視点からお話しさせていただきます。

1. スマートウォッチで見える「心臓の声」

最新のスマートウォッチには、心拍数を測るだけでなく、心臓のリズムを24時間見守り、異常があれば通知してくれる機能が備わっているものがあります。

例えば、寝ている間の心拍数が極端に低かったり、逆にじっとしているのに脈が速くなったりしたときに「通知」が届くことがあります。これは、いわば皆さまの腕に「専属の看護師さん」がいて、心臓のつぶやきを常に聞いてくれているようなものです。

特に、脳梗塞の原因にもなり得る「心房細動(しんぼうさいどう)」という不整脈を検知する機能は、循環器医としても非常に注目しています。

2. もし「不整脈の疑い」という通知が届いたら?

「時計から異常を知らせる通知が来た!」と、真っ青になって駆け込んでこられる方もいらっしゃいます。

まずは、慌てなくて大丈夫です。

スマートウォッチの通知は、あくまで「いつもとリズムが違いますよ」という注意喚起であり、それだけで即座に命に関わる事態というわけではありません。

しかし、放置するのも禁物です。

不整脈の中には、症状が全くないまま進行し、ある日突然、脳梗塞や心不全を引き起こすものがあるからです。通知が届いたときは、それが「気のせい」なのか、それとも「治療が必要なサイン」なのかを切り分ける絶好のチャンスだと捉えてください。もし出たらその場でスマホでカメラで数値を写真に収めるなどしてください。

もし、通知とともに「胸が締め付けられる」「息が切れる」「強いめまいがする」といった症状がある場合は、早めに当院のような循環器医を受診してください。

3. データは「宝の山」ですが「診断」ではありません

ここで一つ、皆さまに知っておいていただきたい大切なことがあります。 スマートウォッチで得られたデータは、私たち医師にとって診断の大きな手がかりになる「宝の山」です。しかし、それだけで全ての診断が完結するわけではありません 。

医療の現場では、客観的な事実に基づき、事後の検証が可能なデータを用いて診断を行うことが義務付けられています 。スマートウォッチで「不整脈の疑い」が出たとしても、病院では改めて以下のような精密検査を行います。

  • 心電図検査:より正確な電気信号を確認します。
  • 心エコー検査:心臓の形や動き、弁の働きを視覚的にチェックします。
  • 24時間ホルター心電図:より詳しく日常生活中のリズムを追います。

テクノロジーはあくまで皆さまと医療をつなぐ「橋渡し役」です。最終的な診断と治療方針の決定は、ぜひ私たちにお任せください。求められれば、根拠に基づいた合理的な説明を丁寧に行わせていただきます 。

私はこれまで大病院で、心臓の大きな病気と闘う患者さまを数多く診てきました。その経験から、何よりも大切だと痛感しているのは「異変にいち早く気づくこと」です。

スマートウォッチという新しい道具を賢く使い、少しでも「おかしいな」と感じたら遠慮なくご相談ください。

鹿児島の皆さまが、最新技術の助けを借りながら、いつまでも健やかな鼓動とともに歩んでいけるよう、これからも全力でサポートしてまいります。

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