みなさんこんにちは。「はやかわ循環器内科クリニック」院長の早川です。
1年の半分が過ぎ、本格的な夏が近づいてきましたね。日々忙しく過ごされている皆さまにとって、布団に入ってからの「スマホタイム」は、ほっと一息つける貴重な時間かもしれません。
しかし、循環器内科の医師として、また皆さまの健康を守る町のドクターとして、あえてお伝えさせてください。「寝る前のスマホは、今すぐやめましょう」。実はこの習慣、単なる睡眠不足だけでなく、皆さまの心臓や血管の健康(循環器系)にも大きな負担をかけている可能性があるのです。
今回は、寝る前スマホが体に与えるデメリットと、今日からできる具体的な改善アイデアをお届けします。
1. なぜダメ?寝る前スマホがもたらす3つの大きなデメリット
枕元でついついSNSや動画を見てしまう「寝る前スマホ」。これが習慣化すると、体には以下のような悪影響が及びます。
- 脳が「昼間」と勘違いするブルーライトの罠 スマホの画面から放たれるブルーライトは、太陽光に近い性質を持っています。これを夜に浴びると、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌が抑えられ、脳が覚醒して深い睡眠が妨げられてしまいます。
- 自律神経が乱れ、夜間の血圧が高くなる(循環器への負担) リラックスした睡眠時には、本来なら副交感神経が優位になり、血圧や心拍数が下がって心臓が休まる状態になります。しかし、スマホから流れる刺激的な情報(SNSのタイムラインやニュースなど)を見ると交感神経が刺激され、夜間にもかかわらず血圧や心拍数が上昇してしまいます。
- 脳の疲労が抜けず、日中のパフォーマンスが低下 浅い睡眠が続くと、脳の老廃物を洗い流す仕組みが十分に働きません。翌朝スッキリ起きられない、日中に強い眠気に襲われるといった悪循環に陥ります。
2. 見過ごせない「睡眠と血圧」の関係
私はこれまで、数多くの高血圧や心臓疾患の患者さまを診てきました。その経験からも断言できるのは、「質の高い睡眠は、最高の降圧薬(血圧を下げる薬)である」ということです。
人間は、夜寝ている間に血圧が10〜20%ほど下がるのが正常なリズムです。しかし、寝る前スマホによって睡眠の質が落ちると、夜間に血圧が下がらない「ノン・ディッパー型」などにより、むしろ夜間に血圧が上がってしまう高血圧を招きやすくなります。
夜間に血管や心臓が休めないと、動脈硬化が進み、将来的に脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気を引き起こすリスクが高まってしまうのです。「たかがスマホ」と侮ることはできません。
3. 今日からできる!無理なく「寝る前スマホ」を手放す3つのアイデア
頭ではダメだと分かっていても、やめられないのがスマホの依存性です。根性に頼るのではなく、「仕組み」を作って自然と手放せるようにしましょう。
アイデア①:スマホの「定位置」をベッドから離す 一番効果的なのは、物理的な距離を置くことです。スマホの充電器をベッドサイドではなく、部屋の入り口やリビングに設置しましょう。「布団に入ったらスマホに手が届かない」環境を作るだけで、驚くほどスムーズに眠りにつけるようになります。
アイデア②:夜間モードの自動設定と、21時以降の通知オフ スマホの機能も賢く使いましょう。特定の時間(例:21時)になったら自動的にブルーライトをカットするモードに切り替わるよう設定します。また、仕事の連絡やSNSの通知が鳴るとどうしても気になってしまうため、夜間は「おやすみモード」などにして通知を遮断するのがおすすめです。
アイデア③:スマホに代わる「入眠の儀式」を見つける スマホを手放した後に手持ち無沙汰になる方は、別のリラックス方法を用意しておきましょう。軽いストレッチをする、ノンカフェインの温かいハーブ麦茶を飲む、心地よい音楽や自然の音を小さな音で流すなど、脳に「これから寝る時間だよ」と教えてあげる習慣(入眠の儀式)を作ってみてください。
心地よい眠りで、元気な心臓と血管を保ちましょう
寝る前のスマホを1週間やめるだけでも、「朝の目覚めが違う」「日中の体が軽い」といった変化を実感していただけるはずです。それは、皆さまの心臓や血管が夜の間にしっかり休めている証拠でもあります。
当院は、病気になってから治療するだけでなく、こうした日々の生活習慣から皆さまの健康を支える「親切丁寧な町のドクター」でありたいと考えています。
今夜はぜひ、布団に入る30分前にスマホの画面を暗くして、静かな夜を過ごしてみてくださいね。皆さまが心地よい睡眠をとり、明日も元気に過ごせることを心から願っています。











