肥満とSASの密接な関係:体重管理の重要性

みなさん、こんにちは。はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。

「太っているから、いびきがひどいのかな…」 
「体重を減らせば、睡眠の質も良くなるのでしょうか?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、肥満と睡眠時無呼吸症候群には、深い関係があります。
今回は、その関係性と体重管理の重要性についてお話しします。

【肥満はなぜ睡眠時無呼吸症候群を悪化させるのか?】

肥満が睡眠時無呼吸症候群を引き起こす仕組みは、主に以下の3つです

①首周りの脂肪増加 
余分な脂肪が首の周りに付くことで、気道(空気の通り道)が狭くなります。寝ている時、筋肉が緩むとさらに気道が狭くなりやすく、呼吸が止まりやすくなります。

②内臓脂肪の影響 
お腹周りの脂肪が増えると、横隔膜(呼吸に重要な筋肉)が上がりにくくなります。その結果、スムーズな呼吸が妨げられ、睡眠中の呼吸停止が起こりやすくなります。

③悪循環の形成
睡眠時無呼吸症候群によって質の良い睡眠が取れないと、体重が増加しやすくなります。その理由として、日中の活動量が減る、食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れる、疲れやすく運動不足になるといったことが挙げられます。

【体重と睡眠時無呼吸の関係を示す数字】

・BMI(体格指数)が25以上の方は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが2倍以上 
・体重が10%増加すると、呼吸停止の回数が約30%増加 
・逆に、体重を10%減らすと、症状が約20-50%改善するという報告もあるようです

【効果的な体重管理のポイント】

①まずは現状を把握し、変化に注目すること
・毎日の体重測定 
・体脂肪率のチェック 
・首周りと腹囲の測定

②無理のない目標設定 
・3ヶ月で体重の5%減を目指す 
・急激な減量は逆効果 ・一気にやろうとせず、小さな成功を積み重ねる

③生活習慣の見直し 
・夜遅い食事を避ける 
・間食を控える 
・アルコールは適量まで 
・規則正しい食事時間

④運動の取り入れ方 
・まずは近所や生活道路を歩くことから 
・エレベーターの代わりに階段を使う
・こまめに体を動かす (方法はSNSやYoutubeにたくさんあります)
・できれば有酸素運動を毎日30分

【治療効果を高めるために】

睡眠時無呼吸症候群の治療(CPAPなど)を受けている方は、体重管理と並行して行うことで、より良い効果が期待できます。実際に、体重管理に成功した患者さんからは、以下のような声をいただいています

・いびきが減った 
・日中の眠気が改善した 
・血圧が安定した 
・CPAPの圧を下げることができた

【やってはいけない減量方法】

・極端な食事制限 
・睡眠時間を削っての運動 
・薬に頼りすぎる 
・過度なダイエット

これらは、かえって睡眠の質を悪化させ、SASの症状を悪化させる可能性があります。

体重管理は、睡眠時無呼吸症候群の治療において非常に重要な要素です。しかし、これは決して容易なことではありません。焦らず、無理のない範囲で継続的に取り組むことが大切です。

当院では、睡眠の専門治療と併せて、食事指導も行っています。体重管理でお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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