コロナ禍も注意したい鹿児島の熱中症の話(中編)

皆さんこんにちは、はやかわ循環器内科クリニック院長の早川裕です。

今回は、前回に引き続き「熱中症」のお話をします。

前回の記事も併せてごらんください。

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人間の体温は上がりすぎても下がりすぎても、臓器の機能を維持することができなくなるため、人間の身体の中では絶えず熱をつくっており(産熱)、この熱を身体の外に逃がす(放熱)ことで体温を36℃~37℃程度に保つようになっています。

熱中症には、急激に汗をかくことでおこる脱水症に伴う症状と、体温の調節機能がうまくいかなくなり、体内に熱がこもってしまうことによる症状があります。

2015年につくられた熱中症ガイドラインでは、自覚症状に応じ下の表のように分類されています。

私たちはこのガイドラインに応じて熱中症の治療を行っています。

熱中症診療ガイドライン 2015より

ここで、熱中症診療ガイドラインで分類されている症状をご紹介します。

熱失神

運動などで身体を活発に動かすと、筋肉が熱を産生し体温が上がります。また長時間暑いところにいたり、日光にあたっていることなどで体温が上がることもあります。

体温が上がったら顔が赤くなることがありますよね。これは身体の表面に近い毛細血管を流れる血液の量を増やして、体内の熱を身体の外に出そうとしている反応です。

このとき、血液が身体全体に行き渡るため、一時的に血液が足りなくなり「血圧が低下」したり、脳に十分な血流を送れず「めまい・立ちくらみ」などを起こしたり、ひどいときには「意識を失う」ことがあります。これを熱失神と呼びます。

熱けいれん、熱疲労

体温が上昇すると汗をかきます。汗は蒸発するときに効率よく体内の熱を外に逃がし体温を下げますが、汗をかいて体内の水分量が減少すると脱水状態になります。汗は血液からつくられます。ので、血液の量も減少すると言うことになります。結果的に本来血液に乗って全身に送られるはずの酸素やエネルギーが、全身に十分に送られなくなるため、「全身倦怠感」「悪心・嘔吐」「頭痛」などの症状が出てくることがあります。これを「熱疲労」といいます。

また汗には電解質が含まれているので、大量の汗をかくことで電解質も失われます。特に汗で最も失われやすい電解質はナトリウムです。たしかに、汗ってしょっぱいですよね。

そのため、汗をかいたときに水だけ飲んでも、体内の塩分が不足してしまうことになります。塩分は筋肉の収縮を調整する働きがあるので、塩分不足になると手足がつったり、けいれんを起こしたりしてしまいます。これを「熱けいれん」といいます。

熱射病

さらに体温が上がり、体温を調整する働きが追いつかなくなった場合には、脳の機能を維持できなくなり、意識を失ったり、もうろうとしたりします。当然、全身の機能も著しく障害されてしまうため、早急な対応ができなければ生命を失ってしまう場合もあります。これを「熱射病」といいます。

最近はメディアなどの啓蒙活動が効果が出たのか、重症の熱中症は減ってきている印象はあります。

しかし、全体的な患者数が減少しているわけではありません。

熱中症は原因と対策がしっかりと分かっている疾患です。言い換えると予防できる病気と言えます。前もっての対応が重要になります。電解質を含んだ水分摂取と体温管理を行いましょう。

また熱中症になっても、最初のうち症状はあまりでないことがあります。むしろ日中に活動して、夕方から夜にかけて急激に重症化することが多く見られます。レジャーなどで日光にあたったり、屋外での作業を行ったりした日には、その後の症状をよく観察してください。

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