みなさんこんにちは。はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。
「朝起きると口や喉がカラカラに乾いている」「家族から『寝ているときに口が開いているよ』『いびきをかいている』と言われた」といった経験はありませんか?
「口が開いていただけ」「ちょっと口が乾くだけ」と軽く考えてしまいがちですが、睡眠中の「口呼吸」は、心臓や血管に大きな負担をかけている危険なサインかもしれません。
私はこれまで大病院で循環器専門医として勤めていた際、睡眠中の呼吸トラブルを放置した結果、夜間や早朝に心筋梗塞や脳梗塞、不整脈を発症して救急搬送されてくる患者さまを数多く診てまいりました。
今回は、寝ているときに口が開く(口呼吸になる)メカニズムと、それに潜む危険性、そして今日からできる対策について分かりやすくお伝えします。
1. 「朝起きると口がカラカラ…」それ、口呼吸の危険サインです
本来、人間は寝ている間も「鼻呼吸」をするのが自然な状態です。鼻は空気中のゴミやウイルスを取り除き、湿度の高いきれいな空気を肺に送るフィルターの役割を果たしています。
しかし、さまざまな理由で口が開いて「口呼吸」になると、乾いた冷たい空気や細菌が直接体内に侵入し、口や喉の粘膜を乾燥させてしまいます。
寝ているときに口が開いてしまう原因には、以下のようなものが挙げられます。
- 鼻づまり(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など)
- 加齢や筋力低下による「あごや口まわりの筋肉のゆるみ」
- 仰向けで寝ることによる「舌の落ち込み(舌根沈下)」
- お酒(アルコール)の摂取による喉の筋肉の弛緩
2. なぜ「口呼吸」が心臓や血管の病気につながるのか?
口呼吸そのものも問題ですが、循環器内科として最も警戒すべきなのは「口呼吸の陰に隠れた睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。
① 睡眠時無呼吸症候群(SAS)を併発しているリスク
仰向けで寝て口が開く状態は、喉の奥の気道(空気の通り道)が狭くなっている証拠です。気道が完全に塞がると、睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こします。
② 夜間血圧の上昇と心血管へのストレス
睡眠中に無呼吸や強い低酸素状態に陥ると、脳は危機を感じて交感神経を優位にします。本来、夜間は心臓や血管を休める時間帯ですが、交感神経が刺激されることで脈拍が速くなり、血圧が急上昇します。この状態が毎晩繰り返されることで血管が傷つき、心筋梗塞・脳梗塞・心不全・不整脈(心房細動など)の発症リスクが跳ね上がってしまうのです。
3. 今日からできる!寝ているときの口開き・口呼吸を防ぐ2つの対策
心臓と血管の健康を守るため、まずはご家庭でできる対策から始めてみましょう。
① 寝姿勢の工夫(横向き寝)と室内の湿度調整
仰向けで寝ると重力で舌が喉の奥に落ち込み、口が開きやすくなります。抱き枕などを活用して「横向き」で寝る習慣をつけると、気道が確保されやすくなります。また、加湿器などを利用して室内の湿度を50〜60%に保つことも効果的です。
② 医療機関での「睡眠簡易モニター検査」と早期治療
「口を閉じてもいびきが改善しない」「日中に強い眠気がある」「朝起きると頭が重い」といった症状がある場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。
当院では、ご自宅で就寝時に小さなセンサーをつけるだけで受けられる「簡易睡眠モニター検査」を行っております。検査で重度の無呼吸が認められた場合には、睡眠中に鼻から適切な圧力をかけた空気を送り込むCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)を行うことで、夜間の低酸素状態と口呼吸を解消し、心血管疾患のリスクを大幅に低減させることができます。
4. 小さなサインを見逃さず、当院へご相談ください
「たかが口呼吸」「いつものいびき」と見過ごしてしまうと、知らず知らずのうちに心臓や血管へ負担が積み重なっていきます。寝ているときの口開きを改善することは、質の高い睡眠を取り戻すだけでなく、将来の重大な病気を防ぐ第一歩です。
当院では、患者さまお一人おひとりの悩みに寄り添い、親切・丁寧で分かりやすい診療を心掛けております。ご自身の口の渇きや、ご家族のいびき・口開きが気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。











