みなさんこんにちは。はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。
8月に入り、鹿児島でも夜間の気温が下がらない熱帯夜が続いています。「暑くて夜中に何度も目が覚める」「朝起きたときに口がカラカラに渇いて頭が重い」「しっかり寝たはずなのに日中強い眠気に襲われる」といったお悩みはありませんか?
「暑さのせいだから仕方ない」と思われがちですが、実はその陰に「睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)」という病気が潜んでいる可能性があります。
今回は、夏の酷暑期に特に注意したい「睡眠時無呼吸症候群」と循環器疾患の深い関係について分かりやすくお伝えします。
1. 熱帯夜の「寝苦しさ」…実は「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」かもしれません
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に気道(空気の通り道)が塞がり、何十回、何百回と呼吸が止まったり浅くなったりを繰り返す病気です。
夏場は、室内温度の上昇による寝苦しさから浅い睡眠が増え、舌の落ち込みや気道の閉塞が起こりやすくなります。また、冷たい飲み物の摂り過ぎやアルコールの摂取が増えることも、喉の筋肉を緩ませて気道を狭くする原因になります。
ご自身やご家族に、以下のような症状はありませんか?
- 大きないびきを指摘される(または途中でいびきが止まり、数秒後にガバッと息を吹き返す)
- 朝起きたときに強い頭痛や口・喉の渇きがある
- 夜間に何度もトイレに起きる
- 日中、運転中や会議中に耐えがたい眠気に襲われる
これらは、睡眠中に体が酸素不足に陥っている重要なサインです。
2. なぜ「夏の猛暑」×「SAS」で心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるのか?
心臓や血管の病気を予防する上で、睡眠時無呼吸症候群の見過ごしは非常に危険です。
① 夜間の低酸素状態と交感神経の緊張(血圧の急上昇)
睡眠中に呼吸が止まると、体内の酸素濃度が著しく低下します。すると脳は危機を感じて交感神経を過剰に刺激し、心臓の脈拍を速め、血管をギュッと収縮させて血圧を急上昇させます。本来、夜間は心臓や血管を休める時間ですが、SASの患者さまの血管は一晩中強い負荷に晒され続けているのです。
② 猛暑の疲労と「無呼吸」の二重負荷
8月の酷暑で疲弊した体に対し、夜間の酸素不足が加わることで、心筋梗塞や脳梗塞、心不全、致死的な不整脈の発症リスクが跳ね上がります。特に生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)をお持ちの方は注意が必要です。
3. 今日からできる!質の高い睡眠を取り戻すためのケアと検査
睡眠中の呼吸を整え、心臓への負担を減らすために、以下の取り組みをおすすめします。
① 快適な就寝環境の調整
エアコンを活用して室温を28℃前後に保ち、湿度も50〜60%程度にコントロールしましょう。また、仰向けで寝ると舌が落ち込みやすくなるため、横向きで寝る工夫(抱き枕の使用など)も気道の確保に有効です。
② ご自宅で手軽にできる「簡易睡眠検査」
「自分もSASかもしれない」と思われた場合、当院ではご自宅で受けていただける簡易睡眠モニター検査を行っております。寝る時に指先や鼻の下に小さなセンサーをつけるだけの負担の少ない検査で、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度を正確に測定できます。
検査の結果、重度の無呼吸が認められた場合には、睡眠中に鼻から空気を送り込んで気道を広げるCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)という標準的な治療法を行うことで、夜間の低酸素状態を解消し、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを大幅に下げることができます。
4. 小さなサインを見逃さず、当院へご相談ください
「単なるいびきだから」「暑さのせいだから」と放置してしまうと、知らず知らずのうちに心臓や血管へダメージが蓄積してしまいます。睡眠時無呼吸症候群は、適切な検査と治療によって劇的に改善し、日中の快適な生活と健康な血管を取り戻すことができる病気です。
当院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、丁寧でわかりやすい説明と適切な診療を心掛けております。ご家族のいびきが気になる方や、日中の眠気でお悩みの方は、どうぞ遠慮なく当院にご相談ください。











