みなさん、こんにちは。はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。
2026年の5月も中旬を過ぎ、少しずつ暑さを感じる夜が増えてきましたね。これからの季節、睡眠の質は日中のパフォーマンスや健康維持に直結します。 さて、本日は診察室でもご家族からよくご相談を受ける「大きないびき」についてお話しします。
「隣で寝ている家族のいびきが突然ピタッと止まり、苦しそうでもがいている。このまま息が止まってしまうのではないかと怖くて、思わず体を揺さぶって起こしてしまうんです」
このようなご経験はありませんか?
■ 結論から言うと「無理に起こす必要はありませんが、体勢を変えてあげてください」
無呼吸状態を見つけると慌てて起こしたくなりますが、完全に目を覚まさせてしまうと、お互いに睡眠不足になってしまいます。 いびきや無呼吸の多くは、仰向けで寝ている時に舌の付け根が喉の奥に落ち込み、気道(空気の通り道)が塞がることで起こります。
もし無呼吸が長くて心配な時は、無理に起こすのではなく、肩や腰をそっと押して「横向き(側臥位)」に寝返りを打たせてあげてください。気道が確保され、再び呼吸が再開しやすくなります。
■ なぜ循環器内科で「いびき」の話をするの?
大きないびきと無呼吸を繰り返す病気を「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と呼びます。実はこれ、心臓や血管にとって非常に恐ろしい病気なのです。 無呼吸状態の体は、首を絞められているのと同じような酸欠状態に陥ります。すると、脳は「危険だ!」と判断して交感神経を激しく緊張させます。眠っているはずなのに、一晩中、心臓が全力疾走しているような負担がかかり続けるのです。 これにより、高血圧、不整脈、心不全、さらには脳卒中や心筋梗塞のリスクが跳ね上がります。だからこそ、循環器専門医による早期の発見と治療が必要なのです。
■ 状況別:ご家族がとるべき「正しい対応」
① SASの「疑い」がある場合(まだ病院に行っていない)
毎晩のように起こすのは、ご家族の負担も限界に達してしまいます。次に無呼吸状態になったら、スマートフォンでその様子(いびきの音と呼吸が止まっている様子)を動画で撮影してみてください。 本人は自分の無呼吸に気づいていないことがほとんどです。動画を見せることで事態の深刻さに気づき、受診の大きなきっかけになります。当院でも、ご家族が撮影した動画は診断の重要なヒントになります。
② すでにSASの「診断」が下りている場合(治療中のいびき)
すでにCPAP(シーパップ:空気を送り込んで気道を広げるマスク)等で治療をしているはずなのに、大きないびきをかいている場合。「治療しているのに治っていないのでは?」と起こしたくなるかもしれません。 この場合、CPAPのマスクから空気が漏れている、あるいは空気の圧力設定が現在の体調や体重に合っていない可能性があります。起こしてマスクを着け直させるのも一時的には有効ですが、根本的には「機械の再調整」が必要です。我慢せず、次の受診時に必ず主治医にお伝えください。
■ ご家族の「気づき」が命を救います
いびきは、体からのSOSサインです。 もし、ご家族のいびきや無呼吸で夜も眠れず不安な思いをされているなら、ご本人と一緒に、あるいはお一人でも構いませんので、まずは当院にご相談ください。 鹿児島市の皆様の心臓と血管、そして「穏やかな眠り」を守るため、丁寧にサポートさせていただきます。











