いびき対策の「口閉じテープ」は睡眠時無呼吸症候群にも効く?専門医が語る効果と注意点

みなさん、こんにちは。はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。

当院にいびきや睡眠時の無呼吸のご相談で来られる患者様から、「市販の口閉じテープ(マウステープ)を貼って寝てみたんですが、朝起きると剥がれているんです。これって効果があるんでしょうか?」というご質問をよく受けます。

今回は、この「口閉じテープの効能と注意点」について、循環器内科医の視点からお話しいたします。

■ 口閉じテープの「良いところ」

口閉じテープは、就寝時に無意識に口が開いてしまうのを防ぎ、「口呼吸」から「鼻呼吸」へと促すためのアイテムです。 鼻呼吸になることで、喉の乾燥を防ぎ、起床時の喉のイガイガ感を軽減する効果が期待できます。また、単純に口が開いて喉の粘膜が振動しているタイプの「軽度ないびき」であれば、テープを貼ることで音が静かにな*こともあります。

■ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する効果は?

では、呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」に対しても効果があるのでしょうか? 結論から申し上げますと、口閉じテープで睡眠時無呼吸症候群を根本的に治療することはできません。

睡眠時無呼吸症候群の多くは、仰向けで寝た際に舌の付け根が喉の奥に落ち込み、「気道(空気の通り道)そのものが塞がってしまうこと」が原因で起こります。 気道が塞がって息ができない状態の時に、さらにテープで口まで塞いでしまったらどうなるでしょうか。体は酸素を求めているのに、ますます呼吸が苦しくなってしまいます。 「朝起きるとテープが剥がれている」という方の多くは、寝ている間に息苦しさを感じ、無意識のうちに自分でテープを剥ぎ取ってしまっているのです。

■ 自己判断での使用は「心臓への負担」を見逃す危険も

テープを貼ることで一時的にいびきの音が小さくなったとしても、気道の塞がり(無呼吸や低呼吸)が解消されていなければ、体は酸欠状態のままです。 以前の記事でもお話ししましたが、睡眠中の酸欠は、交感神経を刺激して血圧を急上昇させ、心臓や血管に多大な負担をかけます。根本的な無呼吸が放置されたままでは、高血圧や心不全、脳卒中のリスクを下げることはできません。

■ 気になるいびきは、医療機関での検査・治療を

「大きないびきをかく」「寝ている間に息が止まる」といった症状がある場合は、口閉じテープなどの自己流の対策に頼る前に、まずは医療機関で検査を受けることが大切です。 検査の結果、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、就寝時に専用のマスクから空気を送り込んで気道を広げる「CPAP(シーパップ)療法」など、医学的根拠に基づいた治療を行うことで、いびきや無呼吸は劇的に改善します。

※なお、CPAP治療中の方で「口から空気が漏れて口が乾く」という場合に、医師の指導のもとでCPAPと口閉じテープを併用していただくことはあります。

いびきは、ご自身の睡眠の質を落とすだけでなく、心臓からの「助けて」というサインかもしれません。鹿児島市でいびきや無呼吸にお悩みの方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

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