皆さん、こんにちは!
はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。
日差しが日に日に力強くなり、夏が近づいてくるのを感じますね。薄着になる季節、ご自身の体型や健康診断の結果が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。「最近、お腹周りが気になるなぁ」「血圧や血糖値、ちょっと高めって言われたんだよな…」なんて声も聞こえてきそうです。
その「気になるお腹周り」、いわゆるメタボリックシンドローム(メタボ)と、以前のブログでもお話ししたSAS(睡眠時無呼吸症候群)には、実は深~い関係があることをご存知ですか? しかも、放っておくと、お互いを悪化させてしまう「悪循環」に陥ってしまうことがあるんです。
「メタボ」って、結局何が悪いの?
まず、「メタボ」について簡単におさらいしましょう。メタボリックシンドロームとは、お腹の中の「内臓脂肪」の蓄積に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常(コレステロールや中性脂肪が高い状態)のうち、複数が当てはまる状態のことです。
イメージとしては、お腹の中に余分な脂肪が溜まってしまい、それがまるで「小さな火種」のように、じわじわと血管や体のあちこちに悪影響を与え、将来的に心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気を引き起こすリスクを高めてしまう状態です。まさに「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」の予備軍とも言えます。
メタボとSAS、どうして「悪循環」になるの?
では、このメタボとSASがどうして悪循環に陥ってしまうのでしょうか。
- メタボがSASを招く: 特に内臓脂肪が増えて肥満になると、首周りや喉にも脂肪がつきやすくなります。すると、寝ている間に舌や喉の筋肉が緩んだときに、気道(空気の通り道)が狭くなりやすく、呼吸が止まりやすい状態、つまりSASを引き起こしやすくなるのです。太っている方がいびきをかきやすいのは、このためなんですね。
- SASがメタボを悪化させる: 一方、SASがあると、寝ている間に何度も呼吸が止まり、体は酸欠状態になります。すると、体はストレスを感じて、血糖値を上げるホルモンや血圧を上げるホルモンをたくさん出してしまいます。 また、質の悪い睡眠は、食欲を抑えるホルモン(レプチン)を減らし、食欲を高めるホルモン(グレリン)を増やしてしまうため、ついつい食べ過ぎてしまい、肥満を助長することにも繋がります。 さらに、日中の眠気やだるさで活動量が減ってしまうと、消費エネルギーも減り、ますます脂肪がつきやすくなる…というわけです。
このように、メタボがSASを呼び、SASがさらにメタボを悪化させる…まるで雪だるま式に、どんどん悪い方向へ転がってしまう「負のスパイラル」なんです。
悪循環を断ち切る!そのためにできること
「じゃあ、どうすればいいの?」と不安に思われたかもしれません。でも、大丈夫です。この悪循環は、適切な対策によって断ち切ることができます!
- 生活習慣の見直し: まずは、メタボ対策の基本である食事と運動です。
- 食事: 腹八分目を心がけ、野菜をたっぷり摂る。脂っこいものや甘いものは控えめに。
- 運動: ウォーキングなどの有酸素運動を、無理のない範囲で続けることが大切です。「1日プラス10分の運動」から始めてみませんか?
- SASの治療: SASと診断された場合は、CPAP(シーパップ)療法などの治療を行うことで、睡眠中の無呼吸を改善できます。CPAP療法は、寝ている間に鼻マスクから空気を送り込み、気道が塞がるのを防ぐ治療法です。 SASの治療を始めると、睡眠の質がグンと上がり、日中の眠気やだるさが軽減されます。すると、不思議なことに「運動する気力が出てきた」「間食が減った」という方も多く、生活習慣の改善にも積極的に取り組めるようになることが多いのです。
二人三脚で、健康な未来へ!
メタボもSASも、放っておくと怖い病気ですが、早期発見・早期治療によって、健康的な生活を取り戻すことは十分に可能です。
「最近、体重が増えてイビキも気になる…」「健康診断でメタボ予備軍と言われたけど、何から始めれば…」 もし、そんなお悩みがありましたら、どうぞお一人で抱え込まず、私たち、はやかわ循環器内科クリニックにご相談ください。
当クリニックでは、メタボに関する生活習慣のアドバイスから、SASの検査・治療まで、皆さんの状態に合わせたサポートを情熱を持って行っています。この悪循環を断ち切り、スッキリとした毎日と健康な未来を手に入れるために、私たちと一緒に一歩を踏み出しましょう。
鹿児島の皆さんの「健康づくり」を、全力で応援します!