昼間の眠気が危険信号?睡眠時無呼吸症候群が及ぼす日中の生活への影響

みなさん、こんにちは。
はやかわ循環器内科クリニック院長の早川です。

「休日に昼寝をするのは普通でしょう?」
「年齢とともに眠くなりやすくなるのは自然なことでは?」

このように考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

確かに、適度な眠気は自然なことです。しかし、日中の強い眠気は、実は重大な病気のサインかもしれません。

特に睡眠時無呼吸症候群の方は、夜間の睡眠が深く取れていないため、日中に強い眠気を感じやすいのです。なぜこれが危険なのか、詳しく見ていきましょう。

【なぜ日中の眠気が起こるのか?】 

睡眠時無呼吸症候群の方は、夜間に何度も呼吸が止まることで、脳が完全な休息を取れていません。呼吸が止まるたびに、脳が「危険!」と感じて微細な覚醒反応を起こすのです。本人は覚えていなくても、実は一晩に数十回、場合によっては数百回も睡眠が妨げられているのです。

【日中の眠気がもたらす具体的な危険】

①交通事故のリスク 
運転中の居眠りは重大事故につながります。実際、SASの方の交通事故率は、健康な方の2~7倍という報告もあります。特に長距離運転や単調な運転では危険が高まります。

②仕事への影響 
睡眠時無呼吸症候群の方に現れる症状として、会議中の居眠り、作業効率の低下、集中力の欠如によるミスの増加、記憶力の低下などが挙げられます。こういった症状はみなさんのお仕事に悪影響を及ぼすのみならず、ご自身や同僚の皆さんだけでなく大切なお客様にも迷惑をかけることになりかねません

③生活の質の低下

睡眠時無呼吸症候群の方には程度によりますが、家族との会話や食事の時間が楽しめない、趣味の時間が減る、外出を控えるようになる、社会活動への参加が減少といったことが起こるようです。

【要注意!こんな場面での眠気は危険信号】 

日常生活において、「座っているだけで眠くなる」「気がついたら居眠りをしていた」という場合は要注意です。

【セルフチェックしてみましょう】

 以下のような状況で、どのくらい眠くなるか、0(まったく眠くならない)~3(必ず眠くなる)で評価してみてください:

  1. 座って本や新聞を読んでいる時
  2. テレビを見ている時
  3. 会議や映画館など人が多い場所で静かに座っている時
  4. 乗客として1時間以上の車に乗っている時
  5. 午後、横になって休憩している時
  6. 誰かと座って話をしている時
  7. お酒を飲まない昼食後、静かに座っている時
  8. 運転中の信号待ちで停車している時

合計点が10点以上の場合は、専門医への相談をお勧めします。

【治療で改善できます】

 日中の眠気は、適切な治療によって改善が期待できます。

SASの治療を始めた患者さんからは、「これまで何年も感じていた眠気が嘘のように消えた」「仕事中の集中力が戻った」といった声をよく聞きます。

大切なのは、「年齢のせい」「仕事が忙しいから」と自己判断せずに、専門家に相談することです。

日中の眠気で困っていらっしゃる方は、ぜひ一度、睡眠時無呼吸症候群の可能性を考えて医療機関での受診・相談をおすすめします。

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